シグナルデータ

シグナルデータはDSP(Digital Signal Processing)によって演算が開始されるデータです。

音の出力や入力、加工する機能のオブジェクトはDSPがオンになっていないと動作しません。その意味ではシグナルデータは音のデータとも言えます。しかし、中には耳に聞こえないほど低い周波数やDSP処理をしている数値データの変化であるものも存在します。

シグナルデータを扱うシグナルオブジェクトは[osc~]のように、オブジェクト名に「~」(チルダ)が付いています。また、インレットやアウトレットの色が濃く、接続するラインは太くてシグナルデータが通過します。

シグナルデータは以下の特徴があります。

  • コントロールデータよりも演算が高速でタイミングが正確。
  • 浮動小数点(小数点以下)の演算の解像度が高い。
  • DSPがオンになっていると、シグナルオブジェクトからは常に何らかのシグナルデータが発生している。

ここで、以下のパッチをダウンロードして開いてみましょう。

simple_rec

simple_rec

これは音声を1秒間録音できるパッチです。

1秒間=44100サンプルの箱を持つアレイを配置し、[tabwrite~]に[adc~]からのマイク入力が太いラインでつながっています。このラインがシグナルデータ用のラインです。

「$0-pocket」というのは任意のアレイの名前です。

上のBangボタンをクリックしてbangデータが[tabwrite~]の左インレットに入力されると、1秒間だけ録音されます。

[tabwrite~]の左インレットはシグナルデータの他に、コントロールデータも入力可能なのです。

右下の[loadbang]とメッセージボックス[;pd dsp 1(の組み合わせは、パッチが開いた瞬間に自動的にPdのDSPをオンにする設定です。

何か音を出しながらBangボタンをクリックしてみてください。無事に録音されれば、アレイに波形が表示されます。

もし、何度Bangボタンをクリックしても録音されない場合は、マイク入力が設定されていない可能性があります。

メディアメニュー – オーディオ設定を選択し、オーディオ設定画面で確認と設定をしてください。

audio_setting

[tabplay~]は引数で指定したアレイのデータを音として再生するオブジェクトです。bangデータを左インレットに入力するとアウトレットからシグナルデータが出力され、[dac~]に入力して耳に聞こえる音になります。

text by sei matsumura